センター紹介
整肢療護園
整肢療護園長よりのメッセージ
昭和17年5月に開設されました整肢療護園は,様々な紆余曲折を経ながらも開園以来75年にわたり時代の要請に応えて,肢体不自由をはじめとする様々な障害のある子どもたちに対する幅広い支援を行ってまいりました.現在,入園部門では療育を基盤とした有期有目的入所支援による整形外科・リハビリテーション医療の提供と在宅重度障害児に対する親子入所と短期入所支援,そして様々な家庭の事情により在宅生活が困難となっている肢体不自由児への入所支援を行っております.また外来部門では脳性麻痺児,発達障害児や医療的ケア児など,様々な障害を有するお子さんたちへのリハビリテーションを中心とした医療支援と療育・相談支援を提供しております。
さて,昨年開催された日本肢体不自由児協会創立75周年記念式典では株式会社ミライロ取締役社長・垣内俊哉氏が「障害を価値に変える」というタイトルで講演をされました.この「障害を価値に変える」という言葉は,「障害」に対する見方・考え方が従来の「克服すべき目標」から現代の「ありのままに受け入れる個性」に変わり,更に未来に向かって大きく変わっていくことを示唆しています.さまざまな方々の「障害」を社会に認知される価値に変えるためには,広く発信する手段を提供・確保することが必要であり,我々療育に携わる者は,色々な手立てを用いてこの発信を支援することが求められていると考えております.とりわけ昨今進歩の著しいコンピュータ・情報科学の応用は,重い障害のあるこどもたちにとりましてもその理解と発信を進めるにあたり,今後無くてはならない手段となるに違いありません。
高木先生の述べられた「療育」の定義における「時代の科学を総動員して」という言葉に含まれる「科学」は,ともすれば障害児の身体状況を支え改善するための医学を始めとする自然科学のみを想起しがちですが,社会システムを障害児にとってより良いものへ変えていくための知恵となる社会科学,支え支えられる人々の心と行動を理解するための人文科学をも含まれるものと理解すべきでありましょう。
私たち役職員一同は,今後とも日々の療育の実践と「時代の科学」を活用した研究を通して,障害のある子どもたちとご家族の医療・福祉・活動・社会参加の増進にむけて微力を尽くして参る所存です.今後とも関係者の皆様よりのご鞭撻・ご支援・ご協力を賜ります様,よろしくお願い申し上げます。
整肢療護園長 小崎 慶介
整肢療護園の活動
整肢療護園には乳幼児から高校を卒業した方まで、年齢も入園期間も様々な方々が生活し、それぞれの段階に応じた活動を日中に送っています。
この活動には、看護師・保育士・児童指導員等が参加し、多角的な視点で利用者の成長を支援しています。
入園期間の中~長期利用の方への日常的な活動としては、就学前の幼児には幼児保育室が、学齢の児童には特別支援学校が、卒後の方にはカレッジがあります。Ⅲ病棟に母子入園される母子には毎朝の母子合同保育・個別保育が、また、短期入所や医療入園の利用の方にも合同ないしは個別の保育があります。
病棟単位での活動としては、個別での外出、グループでの外出といった園外活動の他に、週毎のグループワーク(暦事・買い物・スポーツ・ゲーム・視聴覚・製作・調理など)、夏休みの夕食会、クリスマス会、餅つき大会、年度末のまとめの会などの行事があります。Ⅲ病棟においては、8週間の母子入園の中の土曜日に1回行われる家族参観などがあります。
Ⅰ病棟 看護師 青木まどか
私は入職して4年目になります。障害児看護に興味があり、当センターに入職しました。Ⅰ病棟は、主に手術やリハビリをする病棟です。日帰り手術から3,4ヶ月、長いと半年間のリハビリ入院をする子がいます。家族から離れ、手術やリハビリを頑張る子どもたちの生活介助や苦痛の緩和、成長を促す関わりなど様々な看護を行っています。処置に対しては、子どもが納得することや、苦痛ができるだけ少なくなるように、遊びや方法を子どもと相談しながら選択しています。なかなか一筋縄ではいかず、試行錯誤の日々ですが、子どもたちが笑顔になってくれたとき、成長を感じたときの喜びはひとしおです。又、そのときはご家族やスタッフと共有し、喜びあっています。いつもにぎやかで活気に満ちた、あたたかい病棟です。日々、子どもたちと向き合い、たくさんのことを学ばせてもらっています。